経営者 酒巻 久氏
キャノン電子㈱社長の酒巻 久氏の本は
度々取り上げてきました。最近、再び
「仕事の哲学」 PHP研究所
として刊行されました。(2020.9.3)
たまたま、顧問の会社でスピーチを
頼まれて30分ほど話す機会がありました。
営業経験をもとに今の幹部社員に話
掛けるという、結構ハードルの高い
ものでした。
酒巻氏の仕事に対する考え方は以前より
度々注目して取り上げ、話の中にも
取り入れさせていただいたご縁もあり、
ご紹介いたします。
◇「日本人は働きすぎ」ではない
・働き方改革の問題点
「長時間労働の是正」という論点が必ず
登場する。意義あることだが、この問題は
要注意だ。長時間労働や休日出動を罪悪視
しすぎると、「全力で働こうとする」という
意欲が薄れ、楽をしようと考える社員が
増える。
・「欧米人は働かない」という誤解
確かに欧米人はバカンス長期の休みを取る
が、普段は日本人より働く。「欧米人は
頻繁に転職する」も誤解だ。転職を繰り返す
のは二番手、三番手の人たちで、実際は
優秀な人たち程転職しない。
・日本と欧米の採用システムの違い
欧米では現場を統括する責任者がどんな人材
を何人必要かを決め、自分で募集を掛ける。
日本は採用は人事部で優秀そうな人材を集め
そこから配属先を決める。適正が齟齬すると
本人はもとより、上司の負荷も増える。
この辺りを考慮しないと、雇用の流動化、
企業の生産性を高めるのは難しい。
・テレワークで生産性を上げるには知識が
必要
「テレワーク」が推奨されている。だが、
オフィスと違い、判断に迷った時、近くに
いる人に相談できない。よってすべて一人
で判断できるぐらいの知識がないと、テレ
ワークの生産性が落ちてしまう。
◇寝食を忘れ、集中して働く効用
寝食を忘れほど打ち込める仕事に出会える
は幸運なことであり、その中でしか味わえ
ない充実感や達成感もある。
・一日20時間、仕事のことを考える
今の日本では、集中して働くことで生産性
が高まるという考え方が主流で、勤務時間
が終わると仕事から離れる。しかし、開発
や設計、研究など閃きを必要とする仕事
では、一日中仕事のことを頭の中心に置く
ことでよい考えが浮かぶ。
・好きなことをやれる喜び
自分がどのような能力があるかを知り、
その能力を通じて会社に貢献する。さらに
は社会に貢献する。その自覚があれば仕事
は楽しくなる。
・30代は20台の2倍、40代は3倍の
勉強が必要
ベテランになれば、若手の頃に比べ経験は
増えるが、柔軟な発想が失われる。発想で
敵わないベテランは、20代の頃よりも
何倍も勉強して、足りない能力を補う必要
がある。
◇社員が頑張る、会社を信頼する職場
社員が「この会社で働きたい」と思うには
その会社や組織への信頼が重要だ。
・社員をできるだけ平等に扱う
経営陣は社員を「お客様」という視点で
捉える必要がある。「社員は自分たちで
守る」という覚悟が大事だ。
・「ピカイチ運動」で能動的な社員を作る
キャノン電子では、自分で考え、動く習慣
をつける目的で「ピカイチ運動」を行って
いる。4~5人のチームで各々テーマを決め
実現方法を考えるというものだ。例えば
ある工場のチームが「世界で一番よい挨拶」
をテーマとし、毎朝の挨拶を始めたところ、
他の人たちも真似て、全体が挨拶するよう
になった。すると仲間意識が生まれ、製品
の不良も減った。
・褒める時はチーム単位
優秀な一人が頑張った場合でも周囲の
サポートなしにはできない。チーム単位
で表彰することで、仲間意識が高まる
と同時にチーム同士の競争心が芽生え、
他のチームを発奮させることにもつな
がる。
・「立ち会議」が議論を活発化させる
社長就任時、経営会議は2日間で16時間
費やし、かつ月2回もあった。結果、
4~6時間で終わり最大75%の時間短縮
となった。
日頃から酒巻氏の様々な考え方に共感して
いるので、今回のスピーチでも酒巻イズム
のエッセンスは随所に使わせていただきま
した。
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