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2020/07/14

組織変革のこと

会社を退職してからは、会社そのもの

のことは触れずにきました。

企業の経営は大変だと思います。特に組織の

分厚い大企業ではことさらです。

 

現役の頃一組織の長として、経営者と

接してきて感じることがあります。

社長が変わると、組織変革と称して

て前任者がやってきた組織デザインを

いじることで、経営を変革しようとする

動きが起きます。動機は抜本的変革を狙う

のですが、このところそれが成果を生んで

いるとはなかなか評価しづらいものです。

 

何故だろうと考えていた筆者が思わず膝を

打ってしまった本に出合いました。

 

長年心の奥底によどんでいたエネルギーが

沸き上がった声としてお聞きください。

 

「組織」  横山禎徳著 ダイヤモンド社

~「組織という有機体」のデザイン28の

ボキャブラリー~

 

企業の経営戦略を実行する「組織」を

構築することは容易ではない。組織改革に

乗り出す企業は後を絶たないが、真に

生まれ変わったという話はほとんど聞か

ない。

 

組織を本当に変えたいのであれば、組織

構造ではなく、組織を動かすための

仕組みや仕掛けを変えなければならない

 

その仕組みや仕掛けのことを「組織

デザインのボキャブラリー」と呼んでいる。

 

◆人の行動を変える事、すなわち

行動変容こそが組織を変える目的である

どんな大々的に組織変革を行っても、人々

が行動を変えず、昔通りの慣れ親しんだ

行動をしているのであれば、その改革は

失敗である。

 

情報を大量に集め、社内会議で「過剰消費」

し、それで満足して行動に移らないといった

逆説的な状況から脱する必要がある。

 

「答えは外にある」として機敏に動き回る

などこれまでの行動を変える要素はいくら

でもある。

 

◆ほとんどの組織デザインが、素人仕事に

終わっている

多くの組織では企画スタッフが組織改組を

やっているが、いかに優秀でも組織デザイン

に関してはそのための訓練と経験を積まない

素人仕事しかできない。以下の失敗を

する。

 

①「理想的組織をつくろう」と意気込む

事業環境の変化や企業規模拡大を超えて

存在し続ける「理想的組織」などありえない。

「製品別組織」と「機能別組織」のどちら

が良いのか判断する決め手などない。

このような状況では最初はどちらかを選択

し、どちらかを犠牲にするのがよい。

そして頃合いを見計らいその逆をやり、

底上げを図っていく。

 

②「組織メンバーは理性的あるいは合理的

判断に基づき行動する」という人間観

 

縦割り組織の弊害をなくし、組織間連携

を促すために組織横断的な部署を設置する

ことがある。しかし、多くは期待したほど

機能しない。それは会社の目的に沿った

合理的な行動を人々がとらないからだ。

 

カンパニー制も一時、はやった。

しかし、必要十分な権限をすべて与え、

それに応じた評価体系を変えるところまで

徹底してやらなければならない。プライス

やコストだけでなく投資権限も与える必要

があるが、そこまで与えられていることは

稀である。

 

◆座りにくい椅子を用意する

いかに行動とその背景にある動機付けを

変えていくかにある。「駆り立てる仕組み」

「よく観ている仕組み」「注目を浴びる

仕組み」などをしっかり組み込んでいく。

それが本当の意味で組織を変えていくこと

だ。組織図には表れてこない。

 

人がゆっくり座っていては仕事ができない

ような「座り心地の悪い椅子」を用意し、

昔通りでは情報が入らず、事が運ばない

ように職務を決める。

 

◆組織を隅から隅までデザインしては

いけない

組織には「完成」という概念はなく、

「これで決まりだ」ということは永遠に

ない。常に状況に合わせて自己調節を

行うダイナミック・システムである。

人間という有機体が集まって動かして

いる疑似有機体だからだ。

 

私たちの周りにはあきれるほど性格の

悪い人は多くない。大半は怠惰なだけで

常に保身を考え、現状維持的で再現性

のある仕事はできるが、その範囲を

外れると全く無能になったりする。

 

◆絶え間ないラーニングとアンチラーニング

が欠かせない時代である

①「絶え間なく学習し、そして学習した

ことを捨てる」ことである

 

②過去の「常識」から脱却する

世の中の急速な変化についていけない

中年より若者に任せた方がよいという

考えはあるが、ほとんどの伝統的大企業

ではそうなっていない。企業活動の全て

に若者のほうが得意ということはないか

らだ。

 

企業活動を3つに分けて、若者が得意

とすること、中年が得意とすること、

両社が共同・競争した方がいいことに

デザインする。全社一律ではなく、多様な

サブカルチャーがいくつも併存したほう

がいい。

 

過去、現在、未来を通じて「正しい」

組織を求めない、変化できる組織を志向

・時代の変化に敏感な感覚を持っている

・戦略の執行においては柔軟に対応する

・権限の付与は形式にとらわれず

 臨機応変である

・指示命令よりも情報の共有を重んじる

 

このように変化を続けていく

 

◆組織は永続しないもの、そう割り切る

方が賢明である

戦略と組織は表裏一体の関係にあり、戦略

が変われば、それに応じて組織を見直す。

「組織は戦略に従う」

 

◆組織の意思決定システムをデザイン

し直すことには、大きな戦略的価値がある

組織のOSS(オペレーティング・システム・

ソフトウェア)を作っていく上で重要なもの

「意思決定システム」「業績モニター

評価システム」「人財育成・配置システム」

がある。特に「意思決定システム」において

は多くの企業が一律に常務会などで決定

される。事業のスピードを考慮した柔軟性

を組み込まないと意思決定が遅れる。

 

事業の性格に応じてユニットに任せる。

疑義が生じた場合には意思決定委員会の

レビューに掛けるなどの方策もある。

 

◆筆者のまとめ

多くのトップが最高責任者になると、取り

巻きを集め、「居心地の良い部屋、座り

心地の良い椅子」を求めてしまいます。

経営責任の厳しさから、安定したわが身を

守る環境作りに走ることはよくわかります。

 

しかし、戦略なき「組織変革」により、

組織要員が内向きなエネルギーで消耗して

しまい企業の低迷を招いてしまう様をみて

きました。

 

組織に対する見識と経営の勇気をもって

「仕組み」「仕掛け」を編み込んでいく膨大

なエネルギーを注ぎこまないと、組織変革は

成就しない。そうしたトップの姿勢を感じて

社員たちはついていきます。このように絶え

間なく努力していくことこそが、トップに

選任されたものの務めであるとつくづく

思うものであります。

 

そのことをまとめて指摘された良書です。

 

Dsc_1342

メドーセージとは「サルビアガラニチカ」

呼ばれるシソ科アオギリ属のハーブの

ことをいいます。 鳥のくちばしのような

独特な形をしたブルーの花が特徴で、初夏

から秋まで比較的長く花。

雨の続く今、わが家の庭では目立っています。

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