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小説「永遠の0(ゼロ)」

猛暑の夏ロンドンオリンピックに寝不足の人も多い
ことでしょう。国のことを遍く感じる数少ない機会で
しょう。真夏は戦争のことを取り上げることの多く
なる季節です。なんと私の息子から勧められた本
が表題の文庫本です。百田尚樹著講談社文庫で
した。講談社のページからあらすじを引用します。

「日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく
口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦
パイロットがいた……。 人生の目標を失いかけて
いた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子
は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のこと
を調べ始める。
祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されて
いなかった。 元戦友たちの証言から浮かび上が
ってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしな
いものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常な
までに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り……
それが祖父だった。
「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた
男は、なぜ特攻に志願したのか?
健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって
封印されていた驚愕の事実にたどりつく。」

来年2013年に映画化されるとのことで楽しみです。
私の切り口で読んでいたのですが、どっぷり引き
こまれている自分自身弩とうのラストへと向かって
いきました。

海軍の作戦司令官の指揮の詰めの甘さ、消耗品
扱いの兵士と特攻作戦への系譜、作戦の主目的
の設定、集中と戦時の将校の評価、処遇、空戦の
実態を考慮しない作戦立案等々今の企業風土にも
あの時代と変わらない弱点を共感します。

また、宮部久蔵(主人公)の生への執着を勇気の
ない臆病者とののしる周囲の人、あの時代に生き
特攻の意味に疑問を持ち行動できた人は本当に
いたのだろうか?このことは永遠に分からないこと
だと思いますが、今の基準、価値判断で生き様を
単純に批判してはならないと強く思います。この
点も戦前戦後のジャーナリズムに対する作者の
鋭い切り込みに拍手喝采します。

ラストシーンでは宮部は550ポンドの爆弾を抱えな
がら近接信管(周囲に飛行物があれば爆発する
爆弾:太平洋戦争後半に大いに日本を悩ませ、
多くのベテランを失った技術、レーダーとともに
日本軍を追い込んだテクノロジー)が効かない
水面ギリギリの飛行の後機銃掃射にやられなが
ら、上昇背面飛行で甲板に突入、爆弾は不発だっ
たが、そのことが宮部の最後を目撃し、艦長は敵
ながらあっぱれと丁重に水葬したところで結ばれ
ている。とことん戦うことで、日米で幾つかの共感
が生れる・・・ 
思わず目頭が熱くなるものがあります。映画に
なったら感動を呼ぶものと思います。作者の迫力
に脱帽します。息子が読んでいたことも嬉しくなり
ます。こういう時代を経て今日があることを現代の
若者が知ることはとても大切です。

こういった究極の環境に追い詰められた時、人間
は何を考え、どう生き、どう死ぬのかを考えさせら
れます。大地震、巨大システムの崩壊等複雑化した
現代、実はいつどうなるか分からない覚悟が必要な
ことを3.11は現在の私たちに示唆しているのかも
しれません・・・


079

080

(長崎県壱岐市黒崎砲台跡)

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コメント

お久しぶりです。「永遠のゼロ」次に読もうと枕元に用意してあります。面白いらしいですね。私は、こちらも百田尚樹の新作「海賊とよばれた男」を先に読んで昨日読み終えたところです。出光の創始者、出光佐三氏をモデルにした小説ですが、素晴らしい内容でした。ついでにこちらも読んでみてはいかが?

投稿: 理恵 | 2012/08/16 22:34

理恵さん ありがとう。早速「海賊と呼ばれた男」を読んでみましょう。夏休みの宿題?です・・

投稿: Shun | 2012/08/19 07:52

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