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方丈記

出張の移動時間の過ごし方は結構大切です。仕事の
準備、休憩、読書、車窓を眺める、乗客や社内の出来
ごとウォッチング等々いろいろあろうと思います。ゴール
デンウィーク明けの新幹線と飛行機の移動で、新書版
を買いました。有名な「方丈記」です。高校時代の古文
で見た感じがする程度でした。作者は鴨長明で、時代
は1212年で、平安末期の保元、平治の乱、平氏の
台頭と没落、源氏の武士の時代とめまぐるしく変化し
災害の多い時代でもありました。

書かれてから800年記念であり大河ドラマ平清盛との
関係もあり企画されたものでしょう。「新訳方丈記 乱世
を生き抜くための「無常感」を知る」佐方郁子翻訳
(PHP)です。「ゆく川の流れは絶えずして、しかももと
の水にあらず・・・」の名調子で始まる四百字詰め原稿
用紙二十枚足らずの短いものです。

「無常の文学」と思われているものですが、「災害
の文学」でもあるようです。京都の都では定期的に
火災、疫病、暴風雨、竜巻、水害1185年には大地震
と都の興廃は続きます。残酷までの災害描写が続き
ます。しかし、後半は草庵の楽しみ、清貧の安らかさ
に充足した生活が流麗な文体で綴られています。
「住まいの文学」として焦点を当てて話を進めま
しょう。

そもそも鴨長明は下鴨神社の高官の次男として
生れ7才にして「従五位下」に叙せられるものの、
父親の死後は恵まれず、和歌の世界に道を開き、
歌人としての名声は得るものの、49才で下鴨神社
の摂社の地位に就けず失意。その後、50才で出家
し大原に隠栖し、54才で京都郊外日野外山に方丈
の庵を結びます。
今でいえばプレハブのような組み立て式の庵で方丈
は四畳半の広さの部屋です。牛車に引かせて持ち
こんだというから興味深いものです。ここでの生活を
風流三昧で楽しんでいます。さほど山奥でもなく都心
へは半日足らずで行けるロケーションです。こういう
場所に構えて三大随筆を書いたことになり興味が
尽きません。

50才で挫折して屈折した人生のように見えます。
確かに、それまでは任官、地位にこだわりがあるよう
です。それは当然のことでしょう。ところが、別の処遇
を示されながらも50才を機に隠遁生活を選択するのは
単にプライドにこだわり断ったわけでなく、いわば
「自由人」として好きなことをしていこうという決断では
なかったか・・気持ちを想像することが楽しいです。
同年代で共感するものが多くあります。

とにかく自分の目で見る好奇心と健脚の持ち主で
あったようで、災害の現場、平清盛が福原に遷都すれ
ば見に行き、源氏の世になるとはるか鎌倉まで足を
伸ばしています。だから和歌の文章センスと相まって
800年後まで随筆が残ったのでしょう。

「住まいの文学」としての側面では、火災のことを考え
ると都の真ん中に財の全てを投入して家を建てること
は大変虚しいことであると言っています。悔し紛れも
あるものの自らはすべてを捨てて出家し方丈の庵に
たどりつくとことからは災害を知りつくした経験からでも
あるでしょう。四畳半の組み立て式住居を工夫して楽し
んでいることは大変共感します。しかも最後にちょっと
反省もしています。仏道の修行者として鋭い疑問を
自らに投げかけてもいます。鎌倉仏教の時代ですから、
現在とはまた違った心情があるでしょう。微笑ましくも
あります。

さてさて、我が方としてはいかにすべきか・・・
楽しみじゃ。想像力が掻き立てられる・・・


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(大原三千院 わらべ地蔵)

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