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塩野七生さん

塩野七生さんは尊敬できる作家です。本ブログ
でも度々登場しますが、最近新書「日本人へ」
リーダー篇、国家と歴史篇を新幹線の中で読み
ました。今回はただその紹介ではなく、塩野さん
の著書との関係を考えてみたいと思います。

まず、出会ったのは「海の都の物語」でヴェネツ
ィア共和国の一千年というサブタイトルがついた
塩野七生ルネサンス著作集(新潮社)でした。
細かく土木、軍備、経済、権力闘争様々な側面
から解き明かす手法にびっくりし、引き込まれて
いきました。次に「わが友マキュアベリ」に移り
とかく陰謀の方法論、教科書のように語られる
マキュアベリを「わが友」と言い切る大胆さの
裏側に徹底した調査から挑む度胸とか、さらに
引き込まれ、とうとう全15巻の大作「ローマ人の
物語」に辿りつきました。

「ローマ人の物語」は途中から執筆と同時進行
型、つまり毎年一巻ずつ出版するペースに追い
つき、出版されると同時に購入して読むという
新しい楽しみ方に辿りつきました。内容や感想
は私の過去のブログでも紹介しましたので、今日
は割愛します。

その後は地中海の海賊を取り上げ、ローマ帝国
後の世界を取り上げた「ローマ亡き後の地中海
世界(上下二巻 新潮社)が出ました。さらに今回
「十字軍物語」(新潮社)と続いています。塩野
さんは1937年7月生まれなので、現在満73歳と
なられます。驚きの創作意欲、エネルギーです。

冒頭で紹介した「日本人へ」ではコラム風に時事
を取り上げながら、ルネサンス、ローマ人の物語
ローマ亡き後の地中海世界の執筆について触れ
ているので、とても読者にとっては興味深いもの
でした。

塩野さんの素晴らしさは女性らしさの切り口では
なく、女性として惚れ込み、入れ込んで書いてい
る点を堂々と表わしながら、かつだから厳しく男
の世界を描いている点にあります。

私が気に入っているところを列挙します。
1)古来、平和は戦争の合間に現れ、戦争は外交
 の一手段として存在してきたこと
2)ローマ共和制から帝国皇帝まで、ステレオタイプ
 の切り口ではなく、実績、行動から現れる考え方
 を細かく史料から拾い、双方の側から見た記述
 姿勢に妥協がないこと
3)キリスト教徒でないことを活かし、非西欧人の切
 り口として評価されたこと(2002年にはイタリア
 政府から国家功労勲章、07年に文化功労者に
 なっている)
4)決して手を抜くことなく一貫して73歳の現在も
 「十字軍物語」を出版している姿勢。「スペンデ
 レベーネ」(拙著ブロクにも登場)やりきって死ぬ
 姿勢は常にわが身に匕首を突きつけてくれるあり
 がたい緊張感をいただきます。
5)歴史は常に生身の人間が創ってきていることを
 学問の立場を離れ、入魂して描こうとしている
 「自分の立ち位置」を貫いていること
6)ローマ皇帝で内閣を組織したら、誰が何をやる
 のか?といったユーモアを持っているし、痛烈な
 皮肉の毒も放つことがある。何かしらのしがらみ
 が多い男(組織人)には羨ましいところもある

等々ずっと続いてしまいますが、読者の方からす
ると分りにくいかもしれませんが、ファンとはそう
したものかもしれません。

組織のリーダーとしてのわが身にこれからも刺激
を与え続けてくれるありがたい人生の先輩でもあ
ります。益々のご健勝を祈らずにはいられません。

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